小説 ちょっと今から仕事やめてくる

僕はあまり小説を読まないが、本屋をうろついてるとこの本の表紙に目が入り、あまりにタイトルにインパクトがあったので購入し読んでみた。小説を読みなれていない僕でも読みやすかった。

 

 

表紙はこんな感じ。

 

f:id:shunyakusakari:20200404234718j:image

 

 

 

この小説から学んだことは2つ

①大切な人のために死んではならない

②生きてればなんとかなる

 

 

これだけ聞くと当たり前のことのように感じるけれど、この当たり前こそ難しくてとても大事なことなんだと学びました。

この二つの学びについて、後で詳しく書きます。

 

 

主人公の隆はブラック企業に入社して約半年経つ新入社員。

 

 

4月に就職を迎える大学四年生の自分にとって主人公には親近感が湧き、就職してからの自分のイメージと照らし合わせることもできて、とてもリアルでショッキングなイメージができた。加えてこれから社会人になるにあたって、とても大事なことをこの小説から学べた。

 

 

社会人になることが楽しみか?と問われれば、答えはYESです。やっと自分で稼いで自立して、両親に恩を返していける事や新しい生活、会社での期待などなどワクワクすることが多い。

 

 

しかし不安が0かと言われるとYESとは言えない。今の大きな不安としては、自分は周りの人たちに恵まれるのか、社会人として自立して生きていけるのかなど考える。イメージできないからこそ怖かったりする。特に自分は自己責任力が強くて、すべて自分のせいにしてしまい周りが見えなくなることがある。

その点で仕事に行き詰まり、自己嫌悪を強めていく主人公を見て共感できるところがあり、怖さもあり、勇気ももらえた。

 

 


このような不安がもし現実になった時や、悩みまくって鬱になりかけそうな時、この小説から学んだことが生きてくると思う。またそういった境遇の人に出会ったときにも、この学んだことを活かして助けられるんじゃないかと思う。

 

 

その学んだ箇所を詳しく掘り下げていきたいと思います。

 

 

まず少しどんなストーリーかを、裏表紙に書いてあった紹介文から抜粋しました。

 

 

ブラック企業で働く隆は、ただ繰り返されるだけの苦痛な日々に嫌気がさしていた。そんなある日の帰り道、電車のホームで転落しそうにふらついていた隆をヤマモトという男が腕をつかみ助ける。ヤマモトは隆の同級生だと名乗るが、隆は全くヤマモトの顔に覚えはなかった。しかし隆はその日からヤマモトと交流を深めて、彼のおかげで毎日の仕事にも気合いが入るようになっていく。ヤマモトのことで何か疑わしく思った隆は、彼についてインターネットで調べていく。すると隆はヤマモトが三年前に激務で自殺していたニュースを発見する。ヤマモトという男は結局何者なのか?!また隆はある仕事のミスで、奈落の底に突き落とされる。再び戻った絶望な日々をどう打開するのか、命を絶ってしまうのか?

 

 

 


学んだこと
①大切な人のために、死ぬな
②生きていれば何とかなる

 

①大切な人のために、死ぬな

僕はこの小説の中で響いた言葉がある。
それは、自殺を試みてオフィスの屋上にいた、隆をヤマモトが止めて言い放ったセリフ。
「お前は今、自分の気持ちばかり考えてるけどさ。一回でも、残されたものの気持ち考えたことがあるか?なんで助けてあげられなかったって、一生後悔しながら生きていく人間の気持ち、考えたことあるか?

 

僕は自殺に関して、肯定も否定もできなかった。もちろん「命を簡単に絶つべきでない」という思いで否定の立場でいたかったが、自分にはその人の苦痛や思いを完全に分かってあげることはできない。そんな自分が簡単に自殺はダメというのは「とても安易で無責任ではないか」と思っていた。

しかし完全に自殺を否定できるようにこの小説のこのセリフのおかげで思えるようになった。「残された物はその人の自殺によって、一生助けられなかった後悔を持って生き続けなければならない。」とても同感だった。


誰にだって大切な人はいるはず。少なからずその人たちは、悲しみに暮れそのような後悔を抱き苦しみ続けるかもしれない。それを分からず死んでいくのは、とても自分のことしか考えられていないんじゃないか。

 

家族、兄弟、親友、先輩、先生、恋人など... 必ず誰しも大切な人はいるはず。どんなにどん底に落ちたとしても、その人たちの事を思ってみる。自殺するとその大切な人たちはどう思うのか、考えてみるべき。

 

 

またその大切な人に話してみる、相談することも大事なんじゃないかとも思った。

 

 

 

②生きていれば何とかなる

 

この言葉通り、本当に生きていれば何とかなると思う。

隆は転職も考えた。しかし入社して一年も経っていない隆は、「今やめて転職してもどこも雇ってくれないんじゃないか」「この会社でこんなに怒られるのは自分ができないからだ」「どこに行っても一緒だ」と転職できずにいた。

 

 

仕事に行き詰まりしんどくなった時、周りが見えなくなるんだと思う。その環境がだめだったらすべてがだめと思い込んでしまう感覚だ。

でも実は外に出てみると、その環境は小さくちっぽけに思える。それが全てなんじゃないと。

 

 

これは学校のいじめ問題でも同じように思える。学校にいる時は、その環境が全てだと子供は思い込んでいる。僕もそうだった。

 

 

しかし転校もできる、学校に行かなくてもいい、とその環境が全てじゃなかったんだ、と大人になって分かった。

 

いじめられてしんどくなって、学校に行けなくなったら、休んでもいい。転校したっていい。

 

島田紳助さんがテレビで子供には逃げ道を作ってあげるために、「いつでもこの家族はお前がしんどくなったら転校してやる」という選択肢を提示してあげてたという。こうすることによって、他の環境もあるんだと子供に提示することになって楽になるし、最悪の場合逃げる道を選ぶことができる。

 

 

生きていれば何とかなるから、恥ずかしくても、恐ろしくても、その場を逃げ出してもいい。生きていれば、またやり直していけるし、また違うことに挑戦だってしていける。

 

 

 

僕が社会人になってから、切羽詰まって周りが見えなくなるケースも可能性としてはゼロではない。そんな時はこの小説で学んだ事を思い出す。

自分の大切な人を思い出す。

世界は広い。その会社だけじゃなく、辞めても生きていればそこから色んな選択肢がある。

 

 

自分の周りに辛く立ち止まってる人がいれば、この学びを教えてあげたい。

 

 

是非この小説は勤務環境が悪い企業で働いてたり、上司に恵まれなかったりして毎日が憂鬱でたまらない社会人に読んでほしい。加えてこれから就職する大学生にとっても、仕事でしんどくなった時の心得として読んでおくべきだと思った。